目次
A:九谷焼の歴史
B:九谷焼の色
C:九谷焼の魅力
D:窯での焼成種別
E:九谷焼の観光
F:九谷焼の研修施設
G:使用上の注意と知っておきたいこと
【九谷焼の特徴】
A:九谷焼の歴史
加賀国江沼郡九谷村(現在 加賀市山中)に窯を築き、初めて焼成。
九谷焼(くたにやき)の特徴は色絵種類の豊富さを用いさまざまなデザインへ転用することにあります。
石川県加賀市周辺で作られている陶磁器です。
金沢市・能美市・小松市・能美市・加賀市に多く、作家、店舗、絵付師など九谷焼に従事している人がいます。
日本の代表的な陶磁器の一つで、加賀藩(現在の石川県)で発展した焼き物です。その歴史は17世紀に遡り、華やかな色彩や独自の絵付け技法が特徴です。以下に九谷焼の歴史の主な流れをまとめます。
1. 九谷焼の起源(17世紀前半)
九谷焼は、江戸時代初期の1655年(明暦元年)頃、加賀藩の支藩である大聖寺藩(現在の石川県加賀市)の九谷村で始まりました。大聖寺藩主である前田家の支援を受けて、京都から陶工である後藤才次郎が招かれたことがきっかけです。この時期に九谷村で作られた焼き物は「古九谷」と呼ばれ、その独特な絵付けや釉薬が特徴です。
古九谷様式の特徴 古九谷は、赤、青、緑、黄、紫の「五彩」と呼ばれる色彩豊かな上絵付けを特徴とし、特に大胆なデザインや力強い絵柄が際立っています。中国の影響を受けたデザインや、日本独自の意匠が組み合わされており、雄大で力強い作品が多く見られます。
2. 九谷焼の一時中断と再興(18世紀後半)
九谷村での生産は、一度は17世紀末頃に途絶えました。その理由は不明ですが、資金難や需要の低下などが要因とされています。この期間、九谷焼の製作は止まっていましたが、18世紀後半になると加賀藩の後援を受け、再び生産が開始されました。この時期の九谷焼は「再興九谷」と呼ばれます。
3. 再興九谷と吉田屋窯(19世紀初頭)
19世紀初頭、九谷焼は再び脚光を浴びました。この時期の窯元の一つが「吉田屋窯」で、華やかな色彩と絵付けが特徴です。吉田屋窯では、特に「青手」と呼ばれる濃い青色を基調とした作品が多く作られ、現代の九谷焼の基本的なスタイルを確立しました。
4. 明治時代以降の発展
明治時代に入ると、日本の焼き物は国際市場に進出するようになります。九谷焼もその例外ではなく、ヨーロッパやアメリカへ輸出されました。この時期、九谷焼はより装飾的で、精緻なデザインが施されるようになり、国際的に評価されました。
5. 現代の九谷焼
今日では、九谷焼は石川県の代表的な伝統工芸として広く知られており、日常の器から美術品まで幅広い作品が制作されています。伝統的な技法と現代的な感覚を融合させた新しい作品も多く生み出されており、国内外で高い評価を受けています。
九谷焼の歴史は、その時代の需要や美的感覚に応じて変化しながらも、常に伝統的な技法と独自の美しさを保ち続けています。その主要生産地の1つに能美市があります。
九谷焼誕生のルーツ
色絵のついた陶磁器の伝統工芸品で、今から360年前程、つまり江戸時代前期に誕生しました。ルーツは中国の色絵磁器にはじまり加賀の支藩だった大聖寺藩の初代藩主・前田利治(まえだ・としはる)公が
現在の金と同等の価値に位置していた磁器を中国から輸入していたが輸入規制があり
家中に命じて九谷村で焼かせたのが始まりとなります。現在の加賀市の山奥になります。
B:九谷焼の色
鮮やかな色使いと独特の色彩
九谷焼の色の特徴は、鮮やかで力強い五彩(ごさい)の色使いが挙げられます。
特に以下の五つの色が伝統的に使用されており、「九谷五彩」と呼ばれています。
赤 - 鮮やかで華やかな赤色。
青(緑) - 九谷焼独特の深い青緑色。しばしば「青九谷」と呼ばれます。
黄 - 明るく目立つ黄色。
紫 - 落ち着いた品のある紫色。
紺青(こんじょう) - 深い青色。 これらの色が、九谷焼の豪華さや華やかさを際立たせ、特に絵付け技法による細かく複雑な模様と相まって、立体感や奥行きを感じさせます。また、釉薬(うわぐすり)の使用によって、色に独特の艶や透明感が加わるのも九谷焼の魅力の一つです。
九谷焼は、色彩が豊かで力強い反面、繊細で緻密な絵付けが施されているため、芸術的価値が高く評価されています。
九谷焼の絵柄の特徴は、伝統的な日本の美術様式を取り入れつつ、非常に豊かで多様性のあるデザインが用いられている点にあります。特に以下の特徴が挙げられます。
1.古九谷様式(こくたにようしき)
古九谷は、九谷焼の初期に発展したスタイルで、豪華で大胆な絵柄が特徴です。以下のようなテーマがよく見られます。
花鳥風月:花や鳥、風景など自然をモチーフにしたデザイン。特に大きな花や動物、木々などが描かれ、力強さが際立ちます。 吉祥文様:縁起の良い動植物やシンボル(鶴、亀、松竹梅など)を取り入れた図柄が多く、幸福や繁栄を象徴します。 幾何学模様:網目や格子柄、雲形、菱形などの幾何学模様もよく使われます。
2木米
九谷焼の「木米(もくべい)様式」は、江戸時代後期の陶工・木米(奥村木米)に由来する絵柄のスタイルです。木米は京焼を学び、その技法を九谷焼に取り入れることで独自の作風を確立しました。木米様式の九谷焼には、以下のような特徴があります。
1. 繊細な描写 木米の絵柄は、非常に繊細で緻密な筆遣いが特徴です。自然の風景や花鳥、人物などが細かい筆致で描かれ、写実的なスタイルが多く見られます。木米様式の作品は、手描きの美しさと技巧の高さが際立っています。
2. 山水画風の風景 木米は中国の山水画の影響を受けており、山や川、木々などの風景を描くことが多かったです。山水画風の風景画は、木米様式を代表するモチーフの一つで、墨絵のようなシンプルな色使いと緻密な描写が特徴的です。
3. 人物画 木米は人物画も得意としていました。特に、古代中国の賢人や仙人、文人を描いた作品が多く見られます。これらの人物は、落ち着いた表情や品のある姿で描かれ、知識や精神的な高みに対する憧れを反映しています。
4. 淡い色彩とシンプルな美しさ 木米様式の九谷焼は、古九谷のような豪華で鮮やかな色彩とは異なり、淡い色彩やシンプルなデザインが多いです。使われる色も限られており、渋めの色合いが多く、品のある美しさが追求されています。特に、黒や灰色、緑など、落ち着いたトーンの色が好まれました。
5. 書画との融合 木米様式には、絵柄とともに詩や書が添えられることがよくありました。これは中国の文人画の影響を強く受けており、絵と文字が一体となった美を表現しています。この書画融合のスタイルは、九谷焼の中でも木米様式ならではの特徴です。
6. 京焼の影響 木米はもともと京焼の陶工であったため、九谷焼の他の様式と比較して、京焼の繊細で洗練されたスタイルの影響が強く見られます。これは、九谷焼の中でも木米様式が非常に独特な地位を占めている要因の一つです。
まとめ 木米様式の九谷焼は、繊細で緻密な描写、淡い色彩、そして詩や書を融合させたデザインが特徴的です。山水画風の風景や人物画が多く、中国の文人画や京焼の影響が強く表れており、落ち着いた品格のある作品が多いです。他の九谷焼様式に比べると控えめで、洗練された美しさを持つ点が際立っています。
3吉田屋
九谷焼の「吉田屋様式」は、九谷焼の中でも特に有名なスタイルの一つで、江戸時代後期に発展しました。吉田屋様式の特徴は、色使いや絵柄、そして全体のデザインに独自の美学を持っている点にあります。以下は、その主な特徴です。
1. 特徴的な五彩(五色) 吉田屋の九谷焼は、「色絵」として知られる鮮やかな五彩を用いた絵付けが特徴です。特に「青(緑)」「黄」「紫」「紺青」「黒」の色が使われ、古九谷に似た鮮やかな発色が魅力です。この中でも、特に**緑色(青九谷)**が主役として多く使われ、深い緑が吉田屋の代表的な色調を形成しています。
2. 上絵付けで施された自然のモチーフ 吉田屋様式では、植物や自然をモチーフにした絵柄が多く見られます。特に、花や草木、鳥といった自然の要素がよく描かれ、華やかで力強いデザインが特徴です。たとえば、牡丹や菊、桜などの花々や、鳥や蝶などの動物が細かく描かれることが多いです。
3. 無地の素地(背景)に対する大胆な絵付け 吉田屋の作品は、背景に白地や無地の部分を残しながら、そこに豪華な絵柄を大胆に配置するというスタイルが特徴です。この対比によって、絵付けの色彩やデザインが際立ち、全体的に明るく華やかな印象を与えます。
4. 釉薬の透明感と艶 吉田屋の九谷焼は、釉薬の使用によって色彩が豊かで透明感のある仕上がりになります。特に、上絵付けによる鮮やかな色合いと、釉薬の艶やかさが相まって、作品に独特の深みと美しさが生まれます。
5. 大胆なデザインと細部の精緻さ 吉田屋様式の九谷焼は、大胆なデザインでありながらも、細部まで緻密に描かれることが多いです。特に花や葉、鳥などのモチーフは非常に細かく描写されており、その精巧さが作品の魅力を一層引き立てます。
6. 古九谷への回帰 吉田屋様式は、古九谷様式の再興を目指したスタイルとも言われています。古九谷が一時途絶えていた後、吉田屋はその伝統を復活させ、九谷焼の豪華で力強い色彩やデザインを継承しました。このため、吉田屋様式には古九谷の影響が色濃く残っています。
まとめ 吉田屋様式の九谷焼は、鮮やかな五彩、特に緑色を中心とした色使いが特徴で、花や鳥といった自然のモチーフが多く用いられます。背景に無地を残しつつ、力強く色鮮やかな絵付けを行うことで、華やかでありながらも上品な仕上がりが特徴です。吉田屋様式は、古九谷の伝統を受け継ぎつつも、独自の美的感覚を持つスタイルとして、九谷焼の中で特に高く評価されています。
2. 上絵付けの豪華さ 九谷焼の絵付け技法には「上絵付け」が多く用いられ、これは素焼きした陶器の上に絵柄を描き、さらに焼き上げる技法です。これにより、発色が鮮やかで立体感のある絵柄が生まれます。絵付けの細かさと、色の鮮明さが際立つため、絵柄に独自の豪華さが感じられます。
九谷焼の絵柄の特徴は、伝統的な日本の美術様式を取り入れつつ、非常に豊かで多様性のあるデザインが用いられている点にあります。特に以下の特徴が挙げられます。
1. 古九谷様式(こくたにようしき) 古九谷は、九谷焼の初期に発展したスタイルで、豪華で大胆な絵柄が特徴です。以下のようなテーマがよく見られます。
花鳥風月:花や鳥、風景など自然をモチーフにしたデザイン。特に大きな花や動物、木々などが描かれ、力強さが際立ちます。 吉祥文様:縁起の良い動植物やシンボル(鶴、亀、松竹梅など)を取り入れた図柄が多く、幸福や繁栄を象徴します。 幾何学模様:網目や格子柄、雲形、菱形などの幾何学模様もよく使われます。
2. 上絵付けの豪華さ 九谷焼の絵付け技法には「上絵付け」が多く用いられ、これは素焼きした陶器の上に絵柄を描き、さらに焼き上げる技法です。これにより、発色が鮮やかで立体感のある絵柄が生まれます。絵付けの細かさと、色の鮮明さが際立つため、絵柄に独自の豪華さが感じられます。
3. 大胆なデザインと細部の緻密さ 九谷焼は、大胆な構図と繊細な描写が共存することが特徴です。例えば、大きな花や鳥のモチーフの周りに、細かな模様や装飾が施されることが多いです。この対比によって、作品全体に動きやリズムが生まれます。
4. 異国の影響 江戸時代後期から明治時代にかけて、九谷焼は輸出向けの製品としても人気が高まりました。そのため、西洋のアートや装飾スタイルの影響も受けています。たとえば、西洋の風景や人物が描かれたデザインが見られることがあります。
5. 現代的な絵柄の発展 現代では、伝統的なスタイルを受け継ぎながらも、現代アートや抽象画、モダンなデザインを取り入れた九谷焼も作られており、幅広い表現がなされています。
まとめると、九谷焼の絵柄は伝統的な自然のモチーフから吉祥文様、大胆なデザインまで多岐にわたり、その豊かな色彩と緻密な描写が他の陶磁器と一線を画す特徴を持っています。
九谷焼の「飯田屋様式」は、吉田屋様式に続く九谷焼の代表的なスタイルの一つであり、江戸時代後期から明治時代にかけて発展しました。飯田屋様式の特徴は、華やかさや繊細さに加え、独自の色彩や装飾技法が見られる点です。以下がその主要な特徴です。
1. 豪華で華麗な色彩 飯田屋様式では、古九谷や吉田屋に比べてさらに華やかな色彩が使用され、特に金彩(きんさい)や上絵付けが際立っています。絵柄全体に金を多用することが特徴で、豪華で高級感のある仕上がりが魅力です。また、緑、紫、黄、赤などの色をバランスよく配し、豪奢な色合いを見せます。
2. 緻密で繊細な絵柄 飯田屋様式では、非常に細かく描かれた絵柄が特徴です。特に、花や鳥、人物などのモチーフが細部まで緻密に描写されることが多く、飯田屋の作品はその精巧さと技術の高さで知られています。装飾的なデザインとともに、自然の風景や人物を美しく再現しています。
3. 自然のモチーフ 吉田屋様式に似て、飯田屋様式でも花鳥風月をテーマにした絵柄が多く見られます。桜や菊、牡丹などの美しい花々や、飛び立つ鳥、さらには自然の風景を描くことが多いです。また、これらのモチーフは複数の色彩を使いながらも、繊細に表現されています。
4. 金彩と赤絵の多用 飯田屋様式の特徴的な要素として、金彩や赤絵(あかえ)が多く使われることが挙げられます。特に、上絵付けで赤を基調とした装飾が施され、その上に金で細かい模様や装飾を描くスタイルがよく見られます。これによって、作品全体が豪華で煌びやかな印象を持っています。
5. 動的で力強い構図 飯田屋様式の九谷焼は、動きのある構図が多く、特に鳥や花が風に揺れるような描写や、動的なシーンを捉えたデザインが多いです。これは作品に生命力を与え、視覚的に強いインパクトを与える要因の一つとなっています。
6. 器形の多様性 飯田屋様式の九谷焼は、皿や鉢、花瓶、茶碗など、多様な器形が存在します。これにより、さまざまな場面や用途に対応できる器物が作られており、日常生活や装飾品として幅広く使われました。
まとめ 飯田屋様式の九谷焼は、豪華な色彩と金彩、緻密な絵柄が特徴で、特に赤絵と金の装飾が際立つスタイルです。自然のモチーフを繊細かつ華麗に表現し、動きのある構図が多く、力強い印象を与えます。飯田屋様式は、吉田屋様式に続くスタイルとして、九谷焼の中でも非常に高い評価を受けており、当時の美的感覚と技術が反映された作品が多く残されています。
5青粒
九谷焼の「青粒(あおちぶ)様式」は、緻密で高度な技法を特徴とする九谷焼の装飾様式の一つです。特に、青粒が生み出す精巧で美しい模様が人気で、明治時代から発展しました。以下に青粒様式の特徴を挙げます。
1. 極小の青い点(粒)の装飾 青粒様式の最も大きな特徴は、無数の極小の青い点(粒)を器全体にびっしりと配した装飾です。これらの青粒は非常に細かく、緻密な配置が要求されるため、職人の高い技術が求められます。青粒による模様は、点描画のような繊細で豊かなテクスチャーを生み出します。
2. 金彩との組み合わせ 青粒様式は、青い粒だけでなく、**金彩(きんさい)**との組み合わせが多く見られます。青粒で下地を作り、その上に金彩で複雑な模様や図柄が描かれることが一般的です。これにより、作品に豪華さと高級感が加わり、見た目にも非常に華やかになります。
3. 細密な文様や装飾 青粒様式では、粒状の青の装飾の上に、さらに精緻な文様や装飾が施されます。たとえば、花模様や幾何学模様が青粒の上に描かれることで、細部までこだわり抜かれたデザインが完成します。この複雑な装飾によって、器が立体的かつ豊かな表情を持つようになります。
4. 動植物や自然のモチーフ 青粒様式でも、九谷焼の伝統である自然をテーマにしたモチーフが多く使われます。花鳥風月を表す花や鳥、自然風景が主な題材で、これらが細かく、かつ豪華に描かれます。また、背景として青粒を使用し、その上に花や鳥を配置することで、視覚的な奥行き感や立体感が生まれます。
5. 金と青のコントラスト 青粒の鮮やかな青色と金彩の華やかな金色のコントラストが、青粒様式の美しさの一つです。この対比によって、作品全体に高貴で洗練された印象が生まれ、視覚的なインパクトが強い作品に仕上がります。
6. 高い技術が要求される手法 青粒を均等に配置し、かつその上にさらに精緻な装飾を施すため、青粒様式は非常に高い技術が要求されます。熟練した職人でなければ難しい技法であり、そのため青粒様式の作品は希少性が高く、高級品として扱われることが多いです。
まとめ 九谷焼の青粒様式は、無数の青い粒と金彩の組み合わせによる豪華かつ精緻な装飾が特徴です。細密な文様や自然をモチーフとした絵柄が、青粒の上に描かれ、全体的に華やかで高級感のある仕上がりを持っています。青と金のコントラストによって生まれる独特の美しさが、青粒様式の九谷焼の魅力を際立たせています。
6金花詰
九谷焼の「金花詰(きんはなずめ)」は、特に豪華で精緻な絵付け技法の一つで、非常に細かく美しい金彩の装飾が特徴です。金花詰は、九谷焼の中でも高級品として扱われることが多く、その華やかさと緻密さで知られています。以下に金花詰の主な特徴を挙げます。
1. 金彩を詰めるようにびっしりと装飾 金花詰の最大の特徴は、器の表面に金彩(きんさい)を隙間なくびっしりと詰めるように装飾することです。「詰め」とは、模様を密に描き込むという意味で、細かい金の文様やデザインが全体を覆うように配置されます。これによって、器全体が金色に輝くような華やかさを持つ仕上がりになります。
2. 極めて緻密なデザイン 金花詰では、金彩で描かれる文様が非常に細かく、精密なデザインが施されます。花柄や幾何学模様、唐草模様などが主に描かれ、これらが途切れることなく、緻密に配置されます。その細かさと技術の高さが作品の価値をさらに引き上げます。
3. 色彩とのコントラスト 金花詰は金彩が主役ですが、金色だけでなく、他の色と組み合わせることで美しいコントラストが生まれます。たとえば、背景に濃い青や赤、緑などを用い、その上に金で細かい模様を描くことによって、色彩と金のコントラストが際立ち、作品全体が一層豪華な印象を与えます。
4. 植物や自然をモチーフとした文様 金花詰の絵柄には、伝統的に植物や自然のモチーフがよく使われます。特に、桜、菊、牡丹、藤などの花が代表的で、これらの花々が金色で細かく描かれます。自然の要素が豊かに表現され、品格と華やかさが共存したデザインが特徴です。
5. 装飾的な豪華さ 金花詰は、非常に装飾性が高い技法で、細かい金の模様が器全体に施されることで、視覚的なインパクトが非常に強いです。これにより、日用品というよりも、装飾品や贈答品、特別な行事で使用される高級品として扱われることが多く、作品の芸術性が強調されます。
6. 手作業による高度な技術 金花詰の装飾は、手作業で行われるため、非常に高い技術が要求されます。金彩を細かく正確に描くことは、熟練した職人にしかできない高度な技法であり、作品が完成するまでに多くの時間と労力がかかります。そのため、金花詰の作品は貴重で高価なものが多く、コレクターや愛好家に非常に人気があります。
まとめ 九谷焼の金花詰は、細かくびっしりと描かれた金彩の装飾が特徴で、豪華さと緻密さが際立っています。植物や幾何学模様が金色で表現され、器全体が華やかに仕上がるこの技法は、九谷焼の中でも特に高級で、装飾品としての価値が高いです。手作業による高度な技術が求められ、作品の芸術性と希少性が高く評価されています。
九谷焼 五彩について
絵付け方法も上絵(うわえ)と下絵(したえ)があり多くの場合、 釉薬をかけた上に描く上絵が多色の色使いで豪快で線書きの上に、 緑、黄、赤、紫、紺青の五彩で施される和絵具の重厚な輝きが美しい焼き物となります。 和絵具はフリットといわれるガラスの成分に相当し美しい照りも魅力に大きく関係してきています。 地元では絵の具屋さんも存在し既存の和絵の具の配合率を替え、 五彩の中でもその店店で色は並べてみると異なりがわかります。C:九谷焼の魅力
1. 色絵の華やかさ
九谷焼は、「五彩」と呼ばれる青、緑、黄、紫、赤の鮮やかな色彩を使った絵付けが特徴です。これにより、非常に華やかで視覚的に美しい作品が生み出されます。絵付けは手描きで行われるため、細部まで精巧で独自のデザインが楽しめます。2. 歴史と伝統
九谷焼の歴史は、17世紀の江戸時代に遡ります。長い歴史の中で培われた技術と伝統が受け継がれており、現代でもその美しさと品質は変わりません。また、九谷焼の歴史を知ることで、より深くその魅力を感じることができます。3. バリエーションの豊かさ
九谷焼は食器から花瓶、装飾品まで多種多様なアイテムが作られています。それぞれのアイテムに個性があり、用途に応じて選ぶ楽しみがあります。また、現代のデザイナーやアーティストとのコラボレーションによって、伝統とモダンが融合した新しいスタイルの九谷焼も登場しています。4. 繊細な技術
九谷焼の製作には、高度な技術が求められます。特に絵付けは非常に細かく、職人の技術と経験が反映されます。また、焼成過程でも高度な温度管理が必要であり、これによって独特の質感と発色が実現されます。5. コレクタブルな価値
九谷焼はその美しさと希少性から、コレクターズアイテムとしても高い評価を受けています。特に古い九谷焼や、有名な作家による作品は高い価値があります。収集する楽しみもまた、九谷焼の魅力の一つです。6. 文化的な背景
九谷焼には、伝統的な日本の文化や風景、物語が描かれることが多く、日本の美意識や歴史、物語を感じることができます。例えば、自然の風景や四季折々の花々、伝説や物語の登場人物などが題材としてよく使われます。7. 実用性と美しさの両立
九谷焼は美しいだけでなく、実用的でもあります。食器として使用することで、日常生活の中に美を取り入れることができます。食卓を華やかに彩る九谷焼の食器は、料理をさらに引き立て、食事の時間を豊かにしてくれます。 九谷焼は、伝統と美しさ、高度な技術が融合した陶磁器であり、その魅力は多岐にわたります。日常使いの食器から装飾品、芸術作品として、さまざまな形で九谷焼の魅力を楽しむことができます。
九谷焼酒井百華園ルーツ
盛り絵付けについて
通称「九谷五彩」と呼ばれる5つの色(紺青・赤・紫・緑・黄)は呉須(ごす)と呼ばれる黒色で線描き(骨描き)し、さきほどの五彩(紺青・赤・紫・緑・黄)の5色での絵の具を厚く盛り上げて塗る彩法です。
これを「九谷五彩」と呼んでいます。
油絵の様に絵の具に厚みをつけ、描くというより盛るという方が正しい表現なのかもしてません。
代表色絵のくくりとしましては古九谷と木米風、吉田屋風は、青・黄・紫・紺青の四鮮が美しく、
飯田屋風は「九谷赤絵」と呼ばれるほど特徴的な赤色が目立ちます。
永楽風は艶やかな赤と金が施され、 庄三風は古九谷・吉田屋・赤絵・金欄手の手法を兼ね備えたバランスの良さが美しい九谷焼です。
もちろん五彩といっても全ての色を使った方が好ましいデザインもあれば、その対象によりけりとなります。
商品ごとの価値
ここまでは主な九谷焼特徴をメインとしお話させていただきましたが実際に使用する場合の取扱やシーンも 対象物により様々あります。急須やマグカップの和食器。縁起物招き猫などのインテリア装飾品。 作家物。ギフト用/海外土産/会社贈答/自宅用とさまざまなお客様のニーズに合わせられます。 価格帯も転写紙貼り付けや手描きのレベル、差別化点により数千円・数十万円とございます。D:窯での焼成
焼成種別と温度について
九谷焼の窯の焼成温度もこれもまたその店店によりますが一般的な焼成温度は760℃から830℃の間です。 窯にも種類があります。まず粘土から作って形状を焼成する本窯は1200℃。 形状を対象に上絵付して焼成する場合が上記の760℃から830℃の間になります。 これは対象物によって前項にでてきは食器類は食品衛生法基準クリアの為、高めの温度で焼成されます。 一方装飾品の置物などはその絵の具の融点に設定されることが多いと考えられますが、これもその窯その窯です。九谷焼 絵付け種別について
九谷焼のすごいところは他産地では見られないほど九谷五彩を主軸に絵具の種類を豊富に用いてさらに 各店店で調合し生地に隙間なく手間暇かけて絵付けしていくところにあります。 絵付け方法も手描き/転写紙/ハンコと時間のかかる手描きとは別に時間短縮と大量生産を目的とした方法もあります。 一方みかたによっては転写紙を貼って焼成<完成といってしまうと簡単ですが転写紙製造時に色数・生地の合わせた位置決め、 ゴスを入れる位置、部分など最初のみ費用も時間も要します。E:九谷焼の観光
九谷焼の催し
九谷茶碗祭り
九谷茶碗祭りIN寺井 5月3日〜5日
毎年5月3・4・5日に開催される年に一度のお祭り。
テントが並び、特価品にも出会える茶碗祭り。
幼いころ父親の手伝いをしたのを記憶してます。
(百華園は出店しておりません)
詳細は行政へお問合せください。
https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/contents/1714464753009/index.html
九谷焼を買う
九谷陶芸村
九谷陶芸村(くたにとうげいむら)は、石川県能美市にある九谷焼の観光スポットです。ここは、九谷焼の多くの店舗があり観光客や陶芸愛好者にとって非常に魅力的な場所です
https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/contents/1554432056038/index.html
九谷焼おすすめスポット
石川県立九谷焼美術館(石川県加賀市)
石川県立九谷焼美術館は、日本の石川県加賀市にある美術館で、主に九谷焼(くたにやき)を展示・紹介しています。九谷焼は石川県を代表する伝統的な陶磁器で、その美しい色彩と精巧なデザインで知られています。以下は石川県立九谷焼美術館に関する詳細な情報です。
基本情報
- 所在地: 石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13
- 開館時間: 9:00〜17:00(最終入館は16:30)
- 休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
主要展示内容
石川県立九谷焼美術館では、九谷焼の歴史や技法、美術的価値を紹介するために、多様な展示物を揃えています。展示内容は以下の通りです。
-
歴史的展示:
- 九谷焼の起源と発展の歴史を紹介。
- 初期九谷、古九谷、吉田屋、赤絵などの代表的な九谷焼のスタイルを展示。
-
技術展示:
- 九谷焼の制作工程や技法を解説。
- 現代の作家による制作過程の紹介や、実演イベントの開催。
-
特別展・企画展:
- 定期的に特別展や企画展が開催され、特定のテーマや作家に焦点を当てた展示が行われます。
-
コレクション展示:
- 美術館が所蔵する九谷焼の名品を常設展示。
- 縁起物や茶道具など、用途別に展示。
その他の施設・サービス
- ミュージアムショップ: 九谷焼の製品や関連書籍、お土産品などを販売。
- カフェ: 館内にカフェがあり、九谷焼の器で提供される飲食を楽しむことができます。
- ワークショップ: 九谷焼の絵付け体験などのワークショップが開催されることがあります。
アクセス
- 電車: JR北陸本線「大聖寺駅」から徒歩約20分。
- バス: 大聖寺駅から加賀温泉バスに乗り、「九谷焼美術館前」バス停で下車。
- 車: 北陸自動車道「加賀IC」から約15分。駐車場あり。
おすすめポイント
石川県立九谷焼美術館は、九谷焼の魅力を多角的に楽しむことができる場所です。歴史的な名品から現代の作品まで幅広く展示されており、九谷焼の美しさや奥深さを感じることができます。九谷焼の制作体験や特別展も定期的に行われているため、訪れるたびに新しい発見があります。
https://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
九谷焼窯跡展示館(石川県加賀市)
九谷焼窯跡展示館(くたにやきかまあとてんじかん)は、石川県にある九谷焼の窯跡を保存・展示する施設です。九谷焼の発祥地であるこの地域の歴史的な窯跡を中心に、九谷焼の歴史や技術について学ぶことができます。
基本情報
- 所在地: 石川県加賀市山中温泉九谷町ト-75-1
- 開館時間: 9:00〜16:30(最終入館は16:00)
- 休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
主要展示内容
九谷焼窯跡展示館では、九谷焼の歴史や窯跡の発掘調査の成果を展示しています。以下は主な展示内容です。
-
窯跡の展示:
- 九谷焼の窯跡そのものを展示しており、発掘された窯の構造や遺物を直接見ることができます。
- 窯跡の発掘調査の過程や発見された陶片、道具なども展示されています。
-
歴史的展示:
- 九谷焼の誕生から発展に至る歴史を紹介。
- 初期の九谷焼の特徴や技術の進化について詳しく解説。
-
技術展示:
- 九谷焼の制作工程や技法の紹介。
- 特に初期の九谷焼の制作方法に焦点を当てた展示が充実しています。
-
出土品展示:
- 発掘された陶片や道具などを展示し、九谷焼の制作現場の様子を再現。
- 当時の生活や制作環境を垣間見ることができます。
その他の施設・サービス
- 映像展示: 九谷焼の歴史や窯跡の発掘調査についての映像資料が上映されています。
- ガイドツアー: 窯跡や展示物についての詳しい解説を聞けるガイドツアーが行われることがあります。
アクセス
- 電車・バス: JR北陸本線「加賀温泉駅」からバスで約40分、「九谷窯跡展示館前」バス停下車すぐ。
- 車: 北陸自動車道「加賀IC」から約30分。駐車場あり。
おすすめポイント
九谷焼窯跡展示館は、九谷焼のルーツを探ることができる貴重な施設です。窯跡を実際に見学することで、九谷焼の歴史やその制作過程に対する理解が深まります。また、発掘調査の成果を間近で見ることができるため、考古学的な興味を持つ人にもおすすめです。九谷焼の美しさだけでなく、その背後にある歴史や文化にも触れることができる施設です。
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/shisetsu/09/0290.html
九谷音頭
作曲されたのはおそらく何十年も前だと思われますが5月の連休に開催される九谷茶碗祭りでも流れている音頭です。
九谷焼の町 石川県能美市からです。昔むかし製作されたレコードからCDに焼いてもらいアップいたしました。
後に親戚の上田眼科(故 上田美智子先生)も作曲に携わっていたことを知りました。
祖母とよくお琴をしていた記憶があります。
依頼者:九谷焼酒井百華園 協力:能美市商工会さん 石川県陶磁器商工会連合会さん
https://www.youtube.com/watch?v=F7KRsdkYh-s
F:九谷焼の研修施設
九谷焼関係施設のご案内(業務関係)。
九谷焼を学ぶ所
九谷焼技術研修所
指導員に県内作家が講師となり絵付けを学べる県の施設です。2コースある。
その他にも一般の方向けの陶芸教室も存在します。
https://www.pref.ishikawa.jp/kutanike/
小松北高校
陶芸教室として生徒さんと一般募集からの数人数での教室です。
https://cms1.ishikawa-c.ed.jp/kitath/
絵の具を購入するところ
G:使用上の注意と知っておきたいこと
食器洗い乾燥機(乾燥機)の使用について
九谷焼の色絵が食器洗浄による退色についても考えていく必要があります。
退色する一番の原因は熱とアルカリになります。
つまり食器洗い乾燥機(乾燥機)は熱と水流により洗浄を行うため継続的に機械をつかうと退色は避けられません。
新品時の【光沢度】を守っていくには手洗い水洗いし最後に柔らかい布で水分を拭きとっていただきますと
新品時の【光沢度】も長持ちします。
ここで石川県工業試験所が行いました赤絵の具の耐久性向上について検討した内容を示します。
令和2年12月のJIS規格が制定されたが対象はボーンチャイナ製食器、つまり牛の骨(こっぱん)が30%から60%含まれた磁器食器が対象で九谷焼を含む磁器や陶磁器製食器は対象外となっている。
ここは各業界の反対意見や既得権益の関係から対象外の背景が伺えそうですが私は分かりません。
今回は赤絵の具とフリット(白玉)の調合割合で耐久性、つまり退色具合をみた試験でした。
石川県工業試験所 九谷焼技術センターにより食器洗浄による退色の改善へ
台所用漂白材の使用の件について
食品衛生法について
絵の具も食品衛生法が適用される食器や対象外の装飾品などにより有鉛・耐酸・無鉛と種類があり融点、
つまり窯焼成で溶ける温度の違いや色表現も異なります。
もちろん、食器類に関しては準拠法により販売者の検査が必要となります。
準拠法の視点からみても世界各国には食材が設置する部分という文言は統一感が強く感じています。
百華園 九谷焼お買い物はこちらから